首都圏初! 江ノ電はクレジットカードで乗車OK 全駅にタッチ決済改札機 観光混雑を緩和

江ノ島電鉄は、タッチ決済対応のクレジットカードなどを用いて鉄道に乗車できる首都圏で初めてのサービスを導入し、2023年4月15日(土)初電からすべての駅で利用を可能とします。

江ノ島電鉄江ノ島駅で報道公開されたタッチ決済乗車の利用イメージ(Katsumi/TOKYO STUDIO)
江ノ島電鉄江ノ島駅で報道公開されたタッチ決済乗車の利用イメージ(Katsumi/TOKYO STUDIO)

インバウンドとの相性◎

これまでのきっぷや交通系ICカードなどに加え、タッチ決済対応のカード(クレジット・デビット・プリペイド)やスマートフォンで江ノ電に乗車できるようになります。無人駅を含む全15駅にポール型または簡易式の改札機が設置され、乗降車時にカード等をタッチすると、利用した区間の運賃額が決済されます。

同様の乗車システムは世界615都市の公共交通機関ですでに導入されており、世界標準の乗車手段になりつつあります。事前の登録やチャージは不要で、交通系ICカードを持っていないことが多いインバウンド観光客には特に相性のいいサービスと言えます。

江ノ電のほか、三井住友カード(本社:東京都江東区)、ビザ・ワールドワイド・ジャパン(本社:東京都千代田区)、ジェーシービー(本社:東京都港区)、日本信号(本社:東京都千代田区)、QUADRAC(本社:東京都港区)の各社が役割分担し、共同でシステムを導入しました。

当初はVisa、JCB、American Express、Diners Club、Discoverの5つの決済ブランドに対応し、2023年内を目標に銀聯とMastercardも追加する準備を行っているとのことです(タッチ決済を利用できる江ノ電全駅の路線図、タッチ決済対応改札機のイメージなど詳細は下の図表を参照)。

【路線図で解説】タッチ決済を利用できる江ノ電全駅の路線図、タッチ決済対応改札機のイメージ

タッチ決済「西高東低」から変化?

江ノ電沿線には、有名観光地の鎌倉や江の島をはじめ、人気アニメの舞台として知られる鎌倉高校前駅など、国内外から多くの観光客が来訪するスポットが点在しています。その一方で、きっぷ購入のために券売機や駅窓口に行列ができ、時季によっては乗車までに数十分を要するなど、オーバーツーリズム問題も発生しています。周辺道路の慢性的な渋滞もこの地域の長年の課題です。

江ノ電の楢井進社長は「コロナが収束して再び観光客が戻ってきつつあるタイミングで観光客の分散化や、公共交通利用促進の方策を模索していたところ、各社とのご縁があり、新たな決済手段による当社特有の課題解決に力添えをいただくことになった」と、導入の経緯を説明しています。

「多くの商店で利用できるクレジットカードの機能に移動手段である鉄道が加わることで、加盟店とのタイアップなど、地域経済の活性化にも取り組んでいける可能性がある」と、今後の新たな展開にも期待を寄せています。

国内ではこれまで、南海電気鉄道福岡市交通局JR九州など、西日本の鉄道事業者を中心にタッチ決済の導入が進められてきました。首都圏では一部の高速バス、空港連絡バスなどで導入が始まっていますが、鉄道では江ノ電が初の事例となります。

三井住友カードで交通事業を推進する石塚雅敏部長は「国内では28都道府県、67の交通事業者がタッチ決済の仕組みをすでに導入している。事業者ごと、地域ごとに事業環境はまちまちだが、私たちとしては西が東がといったことはなく、日本全体でサービス展開してきたい」と話します。

東急電鉄も2023年夏から田園都市線を皮切りにタッチ決済の導入を発表しており、これまでの「西高東低」の普及状況が変化しつつあります。

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